新聞コラム第8回目 新たな観光総合指標 量から「質」へ議論期待

観光収入や1人当たり消費額など県の正確な統計は当然ながら、「量より質」に関心を示す業界関係者は多い。観光の量と質の議論を深め、従来の調査項目の細分化や手法・回数を見直し、新たな総合指標の設定を検討してはどうか。

数字は沖縄観光の恩恵を可視化できる重要なツールだ。より一層質の向上を追求するならば、これまで以上に正確な数字へのこだわりが必要となる。量と質のバランスをどのような規模感とスピードで求めていくかを県、自治体、業界、県民が共有するべきだ。

入域観光客数が1千万人を超えていたとはいえ、県内ホテルで稼働率が軒並み上がったという話は聞こえてこない。宿泊施設の増加により顧客の分散化が進むが、分析に必要な数字を得にくいのが実情だ。県の「宿泊施設実態調査」では、施設数や客室数を種類別に見られるが、それに民泊は含まれない。急増する民泊施設には「アパートメントホテル」と呼ばれる中~大規模施設も台頭している。今後は宿泊施設数の統計に「民泊」も含めないと数字を見誤るのではないか。宿泊先の多様化と分散化を明確な数値で把握することは、事業者のマーケティングや戦略立案にも重要な意味を持つ。

一方で、「観光産業実態調査」では、対象8業種の宿泊サービスに民泊も含まれる。調査項目は1事業者当たりの従業員数や平均月額給与、DI数値等が網羅されていて興味深いが、調査の回収目標件数が200件で、県内従事者の全体像を把握するにはサンプル数が少な過ぎる。

名桜大学の大谷健太郎上級准教授によると、観光の本来の目的は住民生活の質を高めることにあるが、経済効果を実感できるまでにはタイムラグが生じる。高騰する人件費の上昇賃金に県内企業の体力が追い付かない側面もあり、実際にどれくらい影響しているのか、従事者は豊かさを実感できているのか等、観光雇用による経済波及を測り、推移を蓄積していくデータがほしい。

観光客の満足度調査は充実しているが、地域住民や事業者の満足度の把握も重要だ。県が年4回実施する観光統計実態調査を毎月行い、手法もデジタルマーケティングを活用する等、スピードとサンプル数の両方の追求が望ましい。

ハワイ州政府観光局の2018年訪問者調査レポートは、質を重視するハワイらしく観光収入と1人1日当たりの消費額をメインとする。島ごとの詳細な調査もある。沖縄観光が質をより重視するならば、統計の切り口や優先順位の見直しの議論が深まることに期待したい。

 

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新聞コラム第7回目「1万人豊か」実現期待

県内の若手経営者らが設立した「SCOM(エスコン)」は、一般的なベンチャーキャピタルや大手ファンドとの大きな違いが三つある。まずはビジョンだ。沖縄の中小零細企業に現代的経営を導入して持続的に利益を出し、社員や社会に還元するスモールビジネス群の創出を通じ、「低賃金」「貧困」「進学率」「離婚率」などの社会課題解決を図る。「10年でより良い経営ができる会社を100社生み出し、5千人の従業員所得を引き上げ、1万人の生活を豊かにする」という具体的な目的を持つ。

次にその手法。投資先企業へのハンズオン支援(経営支援)を行うが、その機動力と実戦力、スピードに期待が持てる。経営者が本業に集中できるよう「実戦」に関与し、ビジネスの基本フレームから成長・財務・事業戦略の策定と運用に関わりPDCAをまわす。

3人の設立者は、それぞれが異なる業界の最前線で活躍するプロフェッショナルだ。藤本和之氏の琉球オフィスサービスは、経営情報を一元管理し、サブスクリプションモデルの利益率を改善し続けるサービス企業。比嘉良寛氏のPaykeは観光市場を捉え世界を相手にビジネスを行い、顧客にデータビジネスを提供するIT企業。上間喜壽氏の上間フードアンドライフはIT化で飲食業の経営効率化を図り、さらにコンサルティングやクラウドサービスを提供するなど事業の多角化を図る。彼ら自身がスモールビジネスの困難を乗り越え、企業を成長させてきた実績を持つ。身銭を切って株主となり、投資先と利害関係を一致させて共にリスクを取る本気のコミットメントの上に行われる支援は、経営者のペインに寄り添ったものとなるだろう。

最後に収益モデル。一般的なベンチャーキャピタル等と違い、投資先企業の上場益を狙わず、中長期視点で成長させた企業経営者による株式の買い戻しを通じた譲渡益を目指す。出資を受ける企業からは、資本調達コストが割高に感じられるかもしれないが、支援により収益力が向上すれば企業価値も増加する。自己株買いをしても安定的な高い収益力を維持できる経営改革が期待されるため、長期的なメリットは大きいだろう。投資先企業が大きく飛躍し、さらに投資先企業が増え、沖縄の1万人を豊かにするビジョンの早期実現に期待が膨らむ。

今後は、SCOMの支援を希望する中小零細企業が急増した場合、そのニーズを満たす資金力とハンズオン支援のマンパワー確保が運営上の課題となろう。ファンドそのものの持続性のためにも、彼らのビジョンに共感し参画する仲間を増やす事が重要と考える。

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新聞コラム6回目「ワーケーション 地域に活気」

テレワークが広く導入されるようになり、働き方の多様化が進む中で注目されているのが「ワーケーション」だ。ワーケーションとは「仕事(work)」と「休暇(vacation)」を組み合わせた造語で、リゾートや地方・帰省先等で休暇を楽しみながら働くことをいう。働き方改革は休み方改革でもある。ワーケーションによる仕事は生産性が向上し、創造的な発想が期待されるとして、大手航空会社や旅行会社、IT企業等が社内制度として導入し成果を上げている。

リゾート地を抱える自治体にとっては、ワーケーションの誘致は長期滞在による経済効果や関係人口の増加も見込め、地方創生につながると期待されている。全国各地でサテライトオフィスの誘致活動やコワーキングスペースの設置が進んでおり、中でも和歌山県白浜町は先進地として特に注目を集める。官民挙げた国内外のIT企業誘致の取り組みが成功する同町では、南紀白浜空港を基軸に地域のホテルや商業・観光施設、自治体、観光協会等が連携し、これに進出企業とのコラボレーションが加わり、最先端の技術力をいかしたイノベーティブな取り組みが地域の活性化を加速させている。例えば、「IoTおもてなしサービス実証」では、顔認証技術を使った「手ぶら」「顔パス」「キャッシュレス」で南紀白浜地区の様々なサービスを利用できる仕組みの実証実験が進む。

和歌山県の担当者のレポートによると、ワーケーションの成功に必要な要素は3つある。1つは、その地域にワーケーションに必要な施設・設備があること。宿泊施設と仕事場所、通信環境、交通手段等ハードの整備が欠かせない。2つめに、地域特有の魅力(人、観光、自然等)があること。ハード面だけならば、都会の方が圧倒的に利便性は高い。地方でワーケーションをする意義を提供するには、地域ならではのコンテンツと差別化が必要となる。3つめはワーケーションを推進する主体があること。和歌山県では県庁内に「ワーケーション・コンシェルジュ」を設置し、強いリーダーシップを発揮している。

ワーケーション誘致に必要な3つの要素に対する沖縄のポテンシャルは高い。定番の地となれば関係人口も拡大し、最新技術や知見を持つ企業の進出を誘発し、沖縄が知の集積地ともなり得る。現時点では内閣府沖縄総合事務局と一部自治体が、ワーケーション誘致に取り組んでおり、県内各地で民間によるコワーキングスペースの整備も増加中だ。弊社でも内閣府の沖縄振興特定事業推進費民間補助金の交付を受け、名護市内の自社ホテルロビーにコワーキングスペースを整備中だ。これは、来訪するビジネス客の利便性を高めるだけでなく、ワーケーションを喚起すると同時に地元コミュニティと来訪者のつながりを創出することに意義を見出してのことだ。

沖縄での滞在時間増加と経済効果につながるワーケーション誘致・推進には、県を筆頭にワンストップ窓口を設けることが望ましいと筆者は考える。県と地方自治体、産業界がタッグを組み、積極的な環境整備と情報発信、誘致を推進する体制の確立に期待する。

沖縄タイムス・ニュースナビプラス

 

新聞コラム5回目「離島でのテレワーカー育成 地方活性と担い手期待」

・・・新聞コラムをアップするのをすっかり忘れていましたが、明日には6回目が掲載されるので思い出した次第。

おまけに「ドメイン更新料を払ってね」と管理会社から通知が来ました。ほとんど休眠状態なのにお金は出ていく。猛省。。。

 

「離島でのテレワーカー育成 地方活性と担い手期待」

テレワークとは、ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方のこと。国が推進する働き方改革実現の切り札とも位置付けられ、国民運動プロジェクト「テレワークデイズ2019」が9月6日まで開催されている。20年東京オリンピック・パラリンピック大会開催時の交通混雑緩和を図る狙いがあるが、最も大きな目的は、テレワークを活用した柔軟な働き方により生産性の向上や多様な人材の能力発揮を拡大することにある。

技術革新と少子高齢化により変化を迫られる日本の労働市場で、テレワークは企業、就業者、社会の3方向にメリットをもたらすとされる。企業にとっては生産性の向上や優秀な人材の確保・離職抑止など。就業者はワークライフバランスの改善、仕事と育児・介護・治療の両立や学び直しの時間の確保など。社会にとっては労働力人口の確保や地域活性化など地方創生の観点からも期待される。

沖縄県の「離島テレワーク人材育成補助事業」は、複数の離島に支援体制を構築し、島外から仕事を取り込む環境を整備・加速化するもの。育成されるテレワーカーは副業による副収入の増加が見込め、技術・能力の向上を図れば、離島にいながら高単価の業務の受注増や高水準の待遇も期待できる。また、コワーキングスペースの整備・拡充が進むことで、都会のテレワーカーやオンライン仲介で働くフリーランス就業者、企業誘致にもつながる可能性が高まる。

18年度版経済財政白書によると、日本では情報処理・通信に関わるIT人材の割合がIT企業に集中しており、それ以外の企業に専門家が少ないため、企業経営におけるIT活用の阻害要因になっている可能性があるという。
テレワーカーの育成は、企業に不足するIT人材の確保にも寄与すると同時に、場所にとらわれない働き方が人手不足の解消と地方の活性化の鍵を握るといえる。

テレワークがもたらすもう一つの可能性に、「関係人口」の増加がある。移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々のことだ。テレワークを通して長く滞在し、地域と交流やつながりを深めた地域外の人材が、社会課題解決の糸口や地域づくりの担い手になることも期待できる。

昨年度より、沖縄総合事務局が県外企業の長期滞在型テレワークの誘致及び導入の実証実験に取り組み、参加企業から高評価を受けている。今年は『ツール・ド・おきなわ』+『テレワーク』の新しい試みも予定されており、地域特性やイベントを生かした相乗効果に大いに期待したい。

 

沖縄タイムス・ニュースナビプラス

 

新聞コラム4回目「社会人のリカレント教育」

2018年度版経済財政白書において、リカレント教育の重要性と具体的効果の分析結果が示されている。

白書によれば、学び直しの大きな意義は2つある。1つは「人生の再設計」が可能になること。2つめはAI(人工知能)などの技術革新に対応したスキルや、機械に代替されにくい能力を身に付けることである。

「学び直し」の方法は、大学等での勉学に専念する方法、通信教育やオンライン講座の受講、セミナー参加や書籍による独学など様々である。いずれの方法にせよ、政府が数年に渡って行った追跡調査結果によると、学び直しを行った人は、行わなかった人に比べて、年収が10万円~16万円近く上昇。また、職業に就いていない人が学び直しを行った場合には、そうでない人に比べて就業確率が10%~14%程度上昇する効果が見られたという。

だが、リカレント教育の前向きな効果が確認されているにもかかわらず、日本では学び直しを実践している人の割合は少なく、25~64歳の大学等での再教育については、OECD(経済協力開発機構)諸国で比較すると、平均の11%に比べて日本は2.4%と大きく下回っている。その要因として、日本では労働時間が長く学習時間が確保できないことや、学び直しの成果が企業の処遇に適切に反映されていないこと、大学等のカリキュラムと社会人のニーズのミスマッチ等があり、今後の課題とされている。

筆者は昨年、MBA取得のため東京のビジネススクールで1年間の学び直しに挑戦した。経営理論や最新知識を学び、学位を取得するという本来の目的以外にも、多くの収穫を得ることが出来た。

たとえば、固定概念の枠を外すこと。長年仕事をしていると、いつしか所属する企業や業界の常識に捉われ、小さな物差しで物事を判断しがちだ。別世界に自らを置き、多様なバックボーンを持つ人達と議論を戦わせ、互いに吸収しあう体験は、複眼的な新しい視座を与えてくれる。

また、一度社会に出て様々な経験をした後での学びだからこそ、より理解が深まる側面や新しい気づきもある。

それらを通して自らの市場価値や、企業の社会的価値について再考するきっかけを得ることも出来る。環境変化のスピードが加速する現在、常に自らと企業の能力を正しく判断することは、適切な経営資源の配分や組織の布陣にも直結すると思う。

学び直しの場で、利害関係なく絆を築けた新しい友人達は、忌憚なく意見し合える社外メンターという大きな宝物だ。

学び直しに挑戦する前と終えた後で、筆者は今、同じ言葉を噛締めている。

「明日死ぬと思って生きなさい、永遠に生きると思って学びなさい」(マハトマ・ガンジー)

 

2019.8.7沖縄タイムス ニュースナビプラス

 

 

新聞コラム3回目「広がるベンチャー型事業承継 永続的経営へ挑戦の場」

2019.7.3沖縄タイムス ニュースナビプラスに掲載

↓こちらは初稿版。実際には文字数オーバーでかなりカットしました。

「広がるベンチャー型事業承継 永続的経営へ挑戦の場」

日本は世界一の長寿企業大国である。国内企業の9割以上はファミリービジネスであるといわれており、その多くは中小企業である。

中小企業庁によると、25年までに70歳を超える全国の中小企業の経営者は約245万人に上るが、約半数で後継者が未定となっている。政府は中小企業の廃業により、25年までに国内総生産が約22兆円失われる恐れがあると試算している。沖縄においても、帝国データバンクの調べでは県内企業の8割は後継者が不在だという。

全国で中小企業の廃業問題が深刻になる中、跡継ぎが新事業を興す「ベンチャー型事業承継」という概念が、各地に広まりつつある。ベンチャー型事業承継とは、若手後継者(アトツギ)が、家業の有形無形の経営資源をベースに新規事業、業態転換、新市場参入など新たな領域に挑戦することで永続的な経営を目指すことをいう。

新しいビジネスモデルを確立し、業績を伸ばしている県内外のアトツギ経営者たちのアントレプレナーシップ(起業家精神)と革新力から学ぶことは非常に多い。

例えば県内では、上間弁当天ぷら店の上間喜壽代表が、家業の経営を再建した経験をもとに会計システムを開発。経営コンサルティング事業を展開し、中小・個人事業者の経営課題を洗い出し、売上拡大や財務改善につなげている。

また、6月に東京で開催された「未来志向のファミリービジネス」フォーラムに登壇した経営者の例を紹介すると、老舗繊維メーカーの三星グループ(岐阜県羽島市)5代目の岩田真吾社長は、自社ブランドの直販や海外展開などアパレルのバリューチェーン統合を進め、クラウドファンディングによる製品開発・販売にも力を入れている。

金属加工会社の由紀精密(神奈川県茅ケ崎市)3代目の大坪正人社長は、薄利多売の自動車向け部品製造から高付加価値な分野へ参入。人工衛星の設計・製造、医療機器の開発から宇宙ゴミの問題解決にも挑戦している。

アトツギ経営者には、先代が積み上げてきた信用や実績という経営資源を活かせるうえに、本業に影響ない範囲で試行錯誤できるメリットがある。事業を継続性という長期的な時間軸で考えられるのもファミリービジネスの特徴だ。

これまで、「同族経営」はともすれば負のイメージが付きまとい、遅れた経営形態と見なされてきたが、事業承継は起業リスクの少ないベンチャービジネスであり、新しい可能性に満ちた挑戦の場でもある。

政府は中小企業の事業承継を後押しするため、事業承継税制の条件緩和を行い、経営者が企業の借金を個人で背負う「個人保証」見直しに向けての指針整備を始めている。沖縄県の事業承継ネットワークは経営者のニーズを掘り起こし、県内金融機関や行政が連携した「金融仲介・地方創生高度化推進会議」は、そのニーズに対応していくという中間報告をまとめた。後継者不足問題は一朝一夕に解決するものではないが、中小企業の活力ある未来が県経済を支えるのは確かなことだ。家業を継ぐべきか、継がざるべきかで悩んでいる若き後継者には、ぜひ新しいチャレンジも人生の選択肢に入れて欲しいと願う。

 

沖縄タイムス ニュースナビプラス 電子版

(2019.7.10時点では、まだアップされていないようです)

新聞コラム 掲載2回目

「やんばるにも空港が必要だ!」という想いを持つ方は、私が思っていた以上に多いようで、掲載後にたくさんの反応をいただきました。ありがとうございました。

沖縄タイムス ニュースナビ+「北部空港の実現を期待」

 

↓こちらは初稿。

沖縄県は「沖縄観光推進ロードマップ」において、2021年までに観光収入1.1兆円・入域観光客数1,200万人と数値目標を設定している。

りゅうぎん総合研究所が、リゾート先進地を視察してまとめた調査レポート「欧・米・豪・露からの外国人観光客の誘致について」(2019年)ならびに「ハワイの観光と沖縄」(2018年)によれば、より大きな観光消費額を得るためには、長期滞在型の観光客を欧米や豪州などから沖縄へ呼び込み、かつ、観光需要の巨大市場であるアジア地域に近い優位性を活かし、より多くの観光客を受け入れる必要がある。同時にオーバーツーリズムへの対応が重要であり、旅客輸送能力の拡大と陸上交通の負荷軽減、観光客の分散化を図る施策として、本島北部へのLCC専用空港の建設を提言している。

筆者はこの提言が、次の4つの課題解決の有効な施策になると考えるため強く支持したい。

まず、那覇空港のキャパシティの課題である。国交省によると、那覇空港で安定的に運用できる離着陸回数は年間13万5千回だが、2017年度の那覇空港の離着陸回数は約16万6千回と大きく上回っている。2020年の供用開始が期待されている第二滑走路も、試算によれば離着陸回数は18万5千回となり、現在の離着陸数の1.1倍にとどまる見込みだという。その理由としては、建設中の誘導路の形状の問題(既存滑走路を横断しなければターミナルに行けないこと)や空港運用時間の制限、国内・国際ターミナルの搭乗スポット数の不足、南西地域の安保環境から自衛隊機の運航が増加傾向にあることなどが考えられる。北部にLCC専用空港ができることで、国際直行便や格安国内便の拡充が可能となり、旅客輸送能力が拡大する。

2つめに、陸路の交通渋滞の課題である。来訪者の交通手段がレンタカー主体となっている現在、二次交通問題は既に県民生活にも影響を及ぼしている。県民にとっても観光客にとっても渋滞の中での車移動時間は、ただ時間を消費しているだけで経済的に大きなロスをしているといえよう。北の玄関口として北部にもう1つ空港があれば、目的地により近い南北いずれかの空港から入る流れができ、陸上交通の負荷軽減に寄与すると考える。

3つめに、観光客の分散化と、沖縄本島の南北格差解消に資する期待がもてることである。空のアクセスが拡大され利便性が増すことで、北部地域そのものが「来訪の目的地」となり、滞在時間や観光消費額の増加が期待できる。先月、北部地域11観光協会のトップらは世界自然遺産のブランド化など、新たな観光ステージへの進化を見据え、沖縄県観光部局の北部事務所の誘致を求める陳情を行った。また、離島を抱える北部12市町村では、北部振興会が空港建設や既存の空港活用促進、離島架橋や主要幹線道路ネットワークの必要性を決議し政府へ要請している。

最後に、万が一に備え、航空機事故や大災害などで空港がクローズした場合の相互のバックアップ機能としても、北部空港はその可能性を模索する必要が大いにあると考える。

りゅうぎん総合研究所の提言は、沖縄が世界有数のリゾート地としての価値を上げると同時に、オーバーツーリズムや北部地域の課題解決にも大いに資するものであり、ぜひとも官民を挙げて議論の活性化が進むことを期待したい。

 

新聞コラム 掲載1回目

卒業して帰省したと思ったら、もう5月に入ってしまいました。

たった1年間とはいえ留守にしている間に、沖縄ではいろいろな事が目まぐるしく変化しており、「浦島太郎状態」の私は、4月はリハビリ期間といったところでした。

さて、このたび地元紙の沖縄タイムスにコラムを書かせて頂くことになりました。これまでの執筆陣を含め連載を担当なさるのは錚々たる方々です。お書きになる内容も高度で、私にとっては非常にハードルが高い連載です。

とは言え、後悔先に立たず。引き受けてしまった以上、月1回ペース・1年間の苦行(?)を全うしなければ。

頼りにしている経済界の先輩方や会社の仲間、そしてWBSの仲間達の力をお借りしながら、自分自身の学びのためにも頑張ります。

 

さて、肝心のコラム。

私がダラダラと文字数オーバーで書いた初稿も、担当記者さんやデスクさんは見事に修正してくださいます。まさに「ビフォー・アフター」という感じ。

私の担当の第一回目の掲載コラム「アフター版」はこちら。(著作権の関係上、リンクとなります)

■沖縄タイムス「ニュースナビ+プラス」(「2018年度入域客が過去最高」を読み解く)https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/417280

 

で。「ビフォー版」が以下となります。でも、ダラダラと本当に冗長なので、読者の皆さまは「アフター版」だけでお腹いっぱいだと思います(キッパリ)。

 

 

<原文>

2018年度の沖縄県の入域観光客数が999万9千人(前年度比4.4%増)と6年連続で過去最高を記録し、うち外国客は初の300万人越となった。

日本全体での訪日外国人旅行者数は、18年に3,000万人の大台に達し、政府は成長戦略の中で2020年に4,000万人、2030年には6,000万人を目指すとしている。

また、訪日外国客の増加や高次元の観光施策実行の必要性を背景に、「観光先進国実現に向けた観光基盤の拡充・強化を図るための恒久的な財源を確保する」ことを目的として、本年1月に「国際観光旅客税」が創設された。始まったばかりのこの国際観光旅客税は通年で480億円の税収が見込まれており、一般財源ではあるが使途を限られているため目的税的な側面を持つ。

観光施策を目的とした独自財源の確保については、全国の自治体でも宿泊税を中心に導入検討の動きが広がっている。東京都、大阪府、京都市に続き、金沢市が本年4月から宿泊税の課税を開始。北海道倶知安町や福岡県、福岡市でもそれぞれ導入が検討されている。

法定外目的税の中でも「宿泊税」が採用されやすい理由のひとつとして、税の負担者が受益者たる観光客であることと、その使途が観光施策に資するものと明瞭であることが、住民の納得を得やすいことが挙げられよう。例えば京都市では、平成 31 年度予算における宿泊税充当事業として①混雑対策・分散化②民泊対策③宿泊事業者支援・宿泊観光推進④受入環境整備⑤国内外への情報発信⑥京都ならではの文化振興・美しい景観の保全を挙げている。

既に沖縄県内でも顕在化しているオーバーツーリズムによる外部不経済の問題抑制及び対策と、観光客受入環境整備には安定財源の確保が必要であり、観光目的税の導入は喫緊の課題であると考える。

なお、観光目的税の導入には正の効果と負の効果の双方があるとされており、正の効果としては、安定的な観光予算の確保とその活用による観光振興施策の実施、観光資源の保全や観光客への啓蒙効果等が挙げられる。

負の効果としては、行政や特別徴収義務者(宿泊税の場合ホテル旅館等)の負担やコスト増、観光客の負担感による観光需要と経済効果減少等の懸念である。

沖縄県でも3月に「観光目的税制度の導入施行に関する検討委員会」が、宿泊料金に応じた2段階の定額制とする提言書を県へ提出した一方で、恩納村が独自に観光目的税の導入を検討している。二重徴税の懸念も含め、県と市町村が観光振興に向けた役割分担をはっきりさせる議論を行い、財源の独立性と透明性を担保する制度設計を、明確な工程表と共に策定することが急がれよう。

観光目的税の導入は、来訪者に対して「沖縄が世界に誇れる観光リゾート地としての発展を目指す」ことを、内外に宣言することでもある。導入の目的や使途について観光客の理解を得られる体制づくりはもちろんのこと、行政や関連産業界だけでなく、県民全体の理解と観光施策に対する意識を高めていくことも重要であると考える。

 

<参考記事・文献>

・2019年4月27日 タイムス総合1面

・2019年4月1日 沖縄タイムス「イチから分かる!ニュース深堀り:観光目的税」

・2019年3月23日 沖縄タイムス「インサイドクリック:観光目的税 意見割れる」

・2018年10月30日 日経新聞電子版「インバウンドで膨らむ観光利権 福岡で宿泊税争奪戦」

・「国際観光旅客税と観光政策」盛山正仁氏(創英社)

・「自治体の宿泊税導入に向けた取り組み」大和総研

・「観光税の導入に関する研究」塩谷英生氏

 

無事に卒業できました

2019年3月25日、早稲田ビジネススクールを無事に卒業することが出来ました。

想像を超えるハードさに、無我夢中で駆け抜けた1年間でした。

やっとの思いでMBAを取得しましたが、まだ実感が湧きません。学べば学ぶほど「無知の知」を思い知るからです。

一生勉強、一生成長。コツコツ積み上げていくしかないですね。

素晴らしい恩師と学友に恵まれ、最高に刺激的な学びの1年間でした。

支えてくださった全ての方々に心からの感謝を申し上げます。

 

高田馬場の氏神様、諏訪神社に御礼参りも済ませました。玄國寺の滝桜、神田川の桜も再び観ることが出来ました。

さあ、古巣へ戻り、自分のミッションを果たす時です。頑張ります。

在学中は忙しすぎて、なかなかブログを書けませんでしたが、今後、振り返りながら少しずつ書いていけたらと考えています。

気が付けば、もう2月

ご無沙汰しております。

前回の更新が昨年の9月って、どんだけ放っておくつもりなんでしょうか。

更新できない間にサーバーとドメインの更新がありましたが、IDやPWも忘れていて大騒ぎでした。

さて、私はWBSでの修論執筆と公開審査も何とか終え、あとは3月の成績発表(修了合否判定)を待つのみとなりました。

秋学期の忙しさはもう、ブー垂れる暇もないくらいハンパなかったです。

どうやって修論を書きあげたのかも思い出せないくらい。

視力も落ちたみたいで、最近では長い時間、文字を読むこともしんどくなってしまいました。。。おばちゃんの辛いところですね。

書きたいことは山ほどあるのですが、思い出しながらお伝えしていけたらと思います。