新聞コラム第9回目 食品ロス削減推進法施行 消費者の意識改革必要

食品ロス削減は、SDGs(持続可能な開発目標)の「つくる責任 つかう責任」に位置付けられ、持続可能な消費と生産の具体的な指針が定められている。

2016年度の日本の食品ロス643万㌧。廃棄の出どころは、家庭(消費者)が約半分の45%、事業者が55%。事業者のうち外食産業で20%(203万㌧)もの食品が廃棄されている。愛知工業大学の小林富雄教授によると、食品のサプライチェーンの中で廃棄が発生する根本的な原因は、メーカーや卸売り、小売り、外食産業などの各プレーヤーが、消費者の要望に応えるプロセスの中で、「リスクを回避する行動」を取ることにある。リスクは大きく三つ。欠品により販売機会を失う「在庫リスク」。見切り販売を繰り返すことで値下げが常態化する「価格リスク」。賞味期限や消費期限に関わる「鮮度リスク」である。

買い物する際に、1日でも賞味期限が長い、棚の奥の商品を取り出した経験はないだろうか? 食品の鮮度に敏感と評される日本の消費者行動と「お客さまは神様」を旨とする提供者側の商取引の概念が、いわゆる「3分の1ルール」を定着させてきたといえる。このルールも緩和の動きが出てきており、さらに加速させるためには、消費者の意識改革と購入の前段階で起きている食品ロス削減に当事者意識を持つことが必要だ。

外食産業の消費現場で各地に広がりを見せる「30・10(さんまる・いちまる)運動」の発祥の地、長野県松本市では、推進店・事業所認定制度を設け、食べ残しの持ち帰りに対応する飲食店にお墨付きを与えるなど市を挙げて取り組んでいる。京都市では「しまつのこころ条例」を定め、飲食店業者に対して、利用者が自らの責任で食べ残しの持ち帰りを希望した場合、衛生管理上支障がない限り認める努力を促す。

飲食店にとって、食べ残しの「持ち帰り」を了とすることは、同時に安全衛生上の責任を負う懸念が起こり得る。免責制度などがあれば、動きは広がるかもしれない。そのためには法的な整備も視野に行政、業界、消費者が共通認識を持つことが重要だ。

食品ロス削減推進法には、製造者等によるフードバンクへの寄付で生じる責任について、その在り方に関する調査及び検討を行うとする条文も盛り込まれた。小売りや飲食店と消費者をつなぎ、食品廃棄を抑制するプラットフォーム型のフードシェアリングサービスも広がりつつある。

SDGsが目指す貧困、飢餓ゼロの実現には、私たち消費者の小さな行動の積み重ねが必要だ。おいしく食べきり、よき年末年始を迎えよう。

 

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