新聞コラム6回目「ワーケーション 地域に活気」

テレワークが広く導入されるようになり、働き方の多様化が進む中で注目されているのが「ワーケーション」だ。ワーケーションとは「仕事(work)」と「休暇(vacation)」を組み合わせた造語で、リゾートや地方・帰省先等で休暇を楽しみながら働くことをいう。働き方改革は休み方改革でもある。ワーケーションによる仕事は生産性が向上し、創造的な発想が期待されるとして、大手航空会社や旅行会社、IT企業等が社内制度として導入し成果を上げている。

リゾート地を抱える自治体にとっては、ワーケーションの誘致は長期滞在による経済効果や関係人口の増加も見込め、地方創生につながると期待されている。全国各地でサテライトオフィスの誘致活動やコワーキングスペースの設置が進んでおり、中でも和歌山県白浜町は先進地として特に注目を集める。官民挙げた国内外のIT企業誘致の取り組みが成功する同町では、南紀白浜空港を基軸に地域のホテルや商業・観光施設、自治体、観光協会等が連携し、これに進出企業とのコラボレーションが加わり、最先端の技術力をいかしたイノベーティブな取り組みが地域の活性化を加速させている。例えば、「IoTおもてなしサービス実証」では、顔認証技術を使った「手ぶら」「顔パス」「キャッシュレス」で南紀白浜地区の様々なサービスを利用できる仕組みの実証実験が進む。

和歌山県の担当者のレポートによると、ワーケーションの成功に必要な要素は3つある。1つは、その地域にワーケーションに必要な施設・設備があること。宿泊施設と仕事場所、通信環境、交通手段等ハードの整備が欠かせない。2つめに、地域特有の魅力(人、観光、自然等)があること。ハード面だけならば、都会の方が圧倒的に利便性は高い。地方でワーケーションをする意義を提供するには、地域ならではのコンテンツと差別化が必要となる。3つめはワーケーションを推進する主体があること。和歌山県では県庁内に「ワーケーション・コンシェルジュ」を設置し、強いリーダーシップを発揮している。

ワーケーション誘致に必要な3つの要素に対する沖縄のポテンシャルは高い。定番の地となれば関係人口も拡大し、最新技術や知見を持つ企業の進出を誘発し、沖縄が知の集積地ともなり得る。現時点では内閣府沖縄総合事務局と一部自治体が、ワーケーション誘致に取り組んでおり、県内各地で民間によるコワーキングスペースの整備も増加中だ。弊社でも内閣府の沖縄振興特定事業推進費民間補助金の交付を受け、名護市内の自社ホテルロビーにコワーキングスペースを整備中だ。これは、来訪するビジネス客の利便性を高めるだけでなく、ワーケーションを喚起すると同時に地元コミュニティと来訪者のつながりを創出することに意義を見出してのことだ。

沖縄での滞在時間増加と経済効果につながるワーケーション誘致・推進には、県を筆頭にワンストップ窓口を設けることが望ましいと筆者は考える。県と地方自治体、産業界がタッグを組み、積極的な環境整備と情報発信、誘致を推進する体制の確立に期待する。

沖縄タイムス・ニュースナビプラス