新聞コラム最終回 ポスト・コロナへ向けて

昨年から執筆を担当させて頂いた、沖縄タイムス「ニュースナビプラス」の連載が、今回で最終回となりました。

「気になるニュースを取り上げ、分析・深掘りして論ずる」という縛りがあったため、好き勝手なテーマで書けず本当に苦労しました。とはいえ、おかげで年がら年中、あらゆる報道にアンテナを張り続けることが出来たので、とても勉強になりました。

最後はぜひとも、沖縄観光の明るい未来を展望する内容にしたかったのですが(特に、「やんばる」は、世界自然遺産登録や北部テーマパークなど明るい好材料も控えているからね)、このたびの世界的なコロナ・ショックの影響で、そうそう能天気な事を書いてもいられなくなったのが残念です。

 

■沖縄タイムス ニュースナビプラス 2020年3月25日掲載

「コロナショック終息後~分散化と生産性念頭に」

那覇市内ホテル従業員感染による同ホテルの積極的な情報公開は、感染拡大を最小限にとどめると同時に、県民・消費者の不安や風評被害を抑えることにもつながり、評価に値すると思う。

業界はこれまで以上に気を引き締め、ウイルス感染防止対策の徹底に努めよう。現時点では出口が見えない「コロナショック」だが、終息後を見据えた準備を怠ってはならない。

日本旅行業協会(JATA)は7~9月期の予測DI値で、海外・国内・訪日旅行全てにおいて全体的に回復傾向を見込んでいる。とはいえ、国内の感染が終息しても、世界各国の状況次第では、訪日観光客数が以前の規模に回復するまでに要する時間は不透明である。

「ポスト・コロナ」に向け、私たちが準備すべきは、国内・県内消費の促進だ。日本人の国内旅行需要は21兆円もあり、県内の観光消費額7793億円のうち、814億円は県民による消費額。政府の緊急経済対策で、飲食業・観光業に重点支援が検討されていることは心強い。終息後に同規模の需要回復を促す消費マインド喚起に向けて、大胆で迅速な施策を求めたい。

国内全体の旅行需要が回復した時に、目的地として真っ先に沖縄が選ばれるための魅力創出と誘客強化、観光産業の体質強化が急がれる。その際に念頭に置きたいのは「分散化」と「生産性」だ。

今回はインバウンド比率の高い企業・施設ほど影響も甚大だ。沖縄へ誘客する国内と海外の比率については、常に注意を払う必要があり、特定の国やエリアに偏りすぎないマーケットの分散化を肝に銘じたい。観光客が激減している今こそ、沖縄におけるオーバーツーリズム問題を定義し、ゾーニングやエリア・時間の分散化など対策の議論を深めてはどうか。

企業は、生産性を高めるための努力も必要だ。いずれ需要が戻った時に備え、オペレーションや働き方の見直し、商品・サービスの改善、デジタル活用など閑散期にこそじっくり取り組めることも多い。過度な価格競争に陥り、業界全体が疲弊することも避けたい。消費が回復した時に、適正利益を残すためには生産性の高い体制を整えていることが鍵となる。

既に雇用調整の問題も顕在化しているが、危機が収束したらすぐにまた人手不足問題も浮上する。国や行政、金融機関などのあらゆる支援策を駆使して、事業の継続と雇用の維持に努めたい。

沖縄はこれまでも、何度も苦境を乗り越えてきた。リゾート地としての優位性も変わらない。今度も必ず乗り越えられる。明日はいよいよ、那覇空港第2滑走路の供用開始だ。

※写真は昨年秋に、那覇空港上空から撮影。瀬長島の奥に、建設中の第二滑走路が見えています